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再び琵琶湖博物館へ

そんな訳で2024年12月4日、8年ぶりに再び琵琶湖を訪れた。
まず目指すは琵琶湖博物館だ。前回改装中で見られなかった水族館でビワコオオナマズに会いたい。
観光シーズンとしてはオフであり、しかもド平日とあって人もまばらな館内。資料コーナーに立ち寄ると、観光客が少ないおかげでスタッフさんが丁寧に接してくれる。
そこで「ビワコオオナマズ」が登場する昔話や伝承のようなものを調べに来たと伝えると、学芸員によるなんでも質問コーナーがあるということで案内してもらう。しかしよくよく聞くと担当学芸員は日替わりでそれぞれ専門分野が違うと言う。
本日の担当学芸員さんは珪藻のエキスパートで、主にプランクトンについての質問受付だという。うーん。。。
ビワコオオナマズの学術的な話ではなくて(いや、それも興味はありますが)、民話のようなものを探しているので、それならできるだけ年配の方をご紹介いただければと畳み込んでみると、ああそれならちょうど良いかもと案内される。
なんでも相談コーナーにいたのは、男性の学芸員さんで年の頃は…私と同年代ぐらいですかね。。。
若干ピント外れな対応かなと思ったが、ここはもう乗り掛かった船だと腹をくくって話を伺ってみることにした。

すると、私の話を聞いた学芸員さんは意外なことを言ったのである。
「ビワコオオナマズという学名が付けられたのはそれほど昔のことではありません。だからもし大昔からの伝承などがあったとしても、単に大きなオオナマズの話ということになるでしょう」

ほう。

その場でノートパソコンで検索してもらうと、確かにそのナマズが新種として登録されたのは1961年、つまり昭和36年。その本のタイトルが固有名詞としての“びわこおおなまず”だったのであれば、確かに昔からの伝承というには少し無理がある最近の話だ。
ただのオオナマズの話であれば「びわこ“の”おおなまず」となる可能性が高い。
さらに話はそのビワコオオナマズの名付け親であり、ビワコオオナマズ研究の第一人者であった友田淑郎氏に及んだ。
それは私が勝手に“絵本”と認識しているが、お話をまるで覚えていない点でこれはいわゆる昔話ではなかった可能性がある。もしかすると、この友田淑郎氏が書いた、あるいは関係している本である可能性もあるのではないかということだった。

さすが学芸員。研究者というのは着眼点と考察力が一味違う。

その友田氏はすでに故人であり、残念ながら本人に問い合わせることはできない。
ところが幸運なことに、この学芸員さんの知り合いだという現在のナマズ研究の第一人者の名前と著書を教えてもらうことができた。この糸はぜひとも手繰っておきたい。